白井です。
以前もこのブログで紹介した「ベートーヴェン捏造」という本ですが、そろそろ終わりに差し掛かりました。
時間の都合で読むのにかなりの時間を要しましたが、大変大変面白い本で、常に驚きの連続でした。
内容も本当に面白いのですが、著者のかげはら史帆さんの文章表現がとても分かりやすく面白いところも読みどころです。
ベートーヴェンの秘書だったシンドラーという人物が、139冊現存している会話帳の中身を改竄していたという内容です。
ベートーヴェンは晩年に耳が不自由になり、筆談で会話をしていまして、その筆談に用いていた会話帳が当時は400冊程度あったそうです。
ちなみに会話帳の中身はベートーヴェンの話し相手の文章がメインで、ベートーヴェン自身は言葉で返していたそうです。
なぜ400冊程あった会話帳が139冊に減ったのかというと、それはシンドラーが故意に燃やしてしまったからだそうです。
シンドラーは現存してる会話帳の中身を改竄し、そして自分が不必要と思った会話帳は全部燃やしてしまったのです。
凄いことをしちゃいましたね。
先日のブログでは、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」について書きました。
タイトルの「運命」は、「ジャジャジャジャーン」の部分を「このように運命は扉をたたく」とベートーヴェンが言ったと会話帳に書いてあったことから付いたのですが、実はこれもシンドラーの捏造だったというお話しです。
あの有名な曲は、実は「運命」ではないということになります。
そして今日は、私の大好きなベートーヴェンのピアノソナタ第17番「テンペスト」についてです。
この曲も「テンペスト」ではないらしいんです!!
びっくりです!!!
これもシンドラーの捏造によって「テンペスト」が定着したものだそうです。
シンドラーがこのソナタの解釈をベートーヴェンに求めたところ「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」とベートーヴェンが言ったというところからこのタイトルが付いたそうなのですが、実はこれも捏造なんだそうです。
ここまでくると、シンドラーって天才なの?って思ってしまいます。嘘がすごすぎ。
でも、こんなシンドラーも凄い人を育てていたみたいです。
リストに嫉妬し、リスト以上のピアニストを排出しようと、小さな頃からシンドラーがピアノを教えていたヴュルナーという人は、後々シンドラーから逃げ、音大出身者なら誰でも知っている「コールユーブンゲン」を書いたんだそうです。
これもなかなかビックリなエピソードです。
その他にもビックリなエピソードが山ほどあるのがこの本です。
「音楽史」ではありますが、「読み物」としてもとても面白いので、音楽に関係のない人でも楽しめる本ではないかと思います。
お勧めです!
この本を教えてくださったのは、元NHK交響楽団首席オーボエ奏者で、現在は指揮者として活躍されている茂木大輔さんです。
午前中に茂木さんから電話があり、他の面白い本も教えてくださったので、それも読んでみたいと思います。
また機会があったら紹介します!
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